MONOCHRONICK

一度に一つの事しかできなくたっていいじゃない。

めだかボックス① 球磨川に学ぶ

球磨川に学ぶ人生の敗者メソッド

 

作中屈指の人気キャラクターの魅力は何なんでしょうか

 

人がすがりたくなるような嘘を平気でつくような奴といわれています。

しかし、そんな嘘の中にも彼がマイナスな存在として胸中に抱いている本音が所々で垣間見れるわけで、それが私たちの心に響いてきます。

 

バトル漫画的素養を持つめだかボックスが、ただのバトル漫画にならず、バトルそのものの勝ち負け以外のところで物語が動いていくというのは魅力の一つです。

バトルそのものの結果を度外視するような発想は、ほとんどこの球磨川から生まれているわけです。

 

 

「勝ちには決して執着しない」

勝って格好良く死ぬくらいなら、負けてみっともなく生きることを選ぶ

「いい台詞を言ってからが本番」

 

「すべての負を恋人のように受け入れる」

不条理・理不尽・堕落・混雑・嘘泣き・言い訳・偽善・偽悪・いかがわしさ・インチキ・不幸せ・不都合・冤罪・流れ弾・見苦しさ・みっともなさ・嫉妬・裏切り・格差・虐待・風評・密告・巻き添え・二次被害、それらすべてを

愛しい恋人のように受け入れることだ

 

 

「人生はプラスマイナスゼロだ」って言う奴は決まってプラスの奴なんだ

あなたが今マイナスの真っただ中にいたとしたら、でも人生プラスマイナスゼロだしな、とは絶対に思わないでしょう。

なんで私ばっかり、と思ってしまうのは当然です。

つまり、これを言ってくる奴はみんなプラス真っただ中の奴らです。

常にマイナスの球磨川くんが、プラスの奴にこれを言われたら納得いくわけがないでしょう。

 

人生はプラスマイナスゼロ、っていうのは落ち込んでたり嫌なことがあった人への有効なアドバイスに感じられますが、自分と相手の立場が現状違うっていうのを理解していない人が言っても、マイナスの人に響かない訳ですよ。

 

マイナスな球磨川くんからすれば、人生はマイナスだらけ、

プラス(いいこと)があったからといってマイナス(やなこと)が帳消しだなんて思えたことはない

 

ちなみに登場人物の一人、善吉くんがこれに対して

「人生はプラスだ」

っていってきます。

生を受けて人生を全うしている時点でプラス、という考えでしょう。

生きていればプラスマイナスあって、それが結果としてプラスとして終るという考えもおおむね同意。

 

ちなみに、この時球磨川くんはとてつもなくいい顔をしてやがります。

こういうことを平気で言う人に対してこそ

なんのことはない、僕は幸せでプラスなみんなに、マイナスの気持ちをわかってほしいだけなのかもしれないね

という言葉が響いてきます。

カッコつけて(「」つけて)話している以上100%の本心でないにしても、言葉の端々に本心のようなものが見え隠れしています。

プラスなみんなの一人である善吉くんに、マイナスの気持ちを思い知らせ、人生に絶望するさまを見たいのでしょう。

 

 

勝ち負けにこだわらない生き方は難しいかもしれませんが、実際の勝負よりも上位の目的意識を持つのがいいのではないでしょうか。